要領の良い受験戦略 4.公立中学校からの
大学受験戦略

公立中学校から大学付属高校を受験することなく、大学受験をするルートについて考えてみました。

高校受験についてはこちらの書籍が勉強になりました。中学受験するか迷っている方、高校受験について知りたい方におすすめです。

< 「中学受験」をするか迷ったら
最初に知ってほしいこと:
4万人が支持する塾講師が伝えたい
「戦略的高校受験」のすすめ >

感想を書いている方がいて、そちらも勉強になりました。

< 本「中学受験 をするか迷ったら
最初に知って欲しいこと」を読んで① >

< 本「中学受験 をするか迷ったら
最初に知って欲しいこと」を読んで② >

英語と数学を先取り学習

公立中学校からの大学受験戦略

小学4年生くらいから中学3年生まで英語と数学の個別指導塾に通い、中学3年生のときに英検準2級もしくは2級、数検準2級もしくは2級に合格できるレベルを目指します。数学が英語に比べて全然できない場合、理系の進学を諦めて、私立文系に特化するために数学の個別指導塾は途中で通うのを中止します。

中学生のときは高校受験のために頑張るのではなく、あくまで目標は大学受験です。

高校受験対策として、難関私立・都立高校向けの進学塾や内申点を上げるための補習塾に通うことにより、よりレベルの高い高校に入学することができるかもしれませんが、それが目標ではありません。

中学生は高校受験して高校に入りますが、推薦入試であれば内申点だけで私立高校に入ることもできます。公立高校も内申点と模試の結果から安全圏の高校を選べばまず落ちませんし、中学受験と比べて高校受験はシビアではありません。

私立文系3教科なら数学を頑張る意味はなく、その分、英語を伸ばしていった方がいいですし、私立理系3教科でも中学数学より先の高校数学の数1Aまで進めていった方が良いでしょう。高校受験が課金ポイントではなく、大学受験に向けて英語、(理系なら数学も)に時間とお金をかけます。

なお、小学生から数学を勉強するのが負担なら、小学4年生くらいから中学3年生まで英語の個別指導塾のみに通い、英検準2級、2級に合格できるレベルを目指します。

最終的に、高校3年生のときに英検2級レベルに合格することができれば、私立文系の日東駒専レベル、英検準1級レベルに合格することができれば、私立文系のMARCHレベルの合格が近づきます。

英検はマーク式で繰り返し受けることができることも攻略しやすい点でしょう。

勉強が得意なら私立理系一般受験
もしくは私立文系一般受験に特化する

勉強が得意なら大学一般受験に向けて、高校は推薦受験もしくは一般受験で入り、高校1年生から3年生まで私立理系なら英語と数学と理科の受験科目(化学・物理・生物)に絞り個別指導塾に通い、私立文系なら英語と国語と社会の受験科目(政治経済・日本史・世界史など)に絞り個別指導塾に通います。

勉強が苦手なら
大学推薦受験に特化する

勉強が苦手なら大学推薦試験に向けて、評定を高くつけてくれる(評定が甘い)公募推薦・総合型選抜に力を入れている高校に入り、指定校推薦で大学進学を目指します。

< 理系の総合型選抜(旧AO入試)と
公募推薦の特徴と対策方法 >

どの高校を選ぶかは非常に重要です。より偏差値の高い高校に入るのではなく、評定平均を高く取れそうな高校、あえて偏差値の低い高校に入ることがポイントになります。

< X – 東京高校受験主義 >

なぜかというと、勉強が苦手なら日東駒専レベルの大学へ一般受験で入れる可能性がかなり低く、推薦受験なら入れる可能性が十分にあるからです。実際に偏差値が低い高校ほど指定校推薦・公募推薦・総合型選抜の比率が高くなります。

なお、指定校推薦は公立高校よりも私立高校の方が多いイメージがありますが、公立高校の方が多い場合もあります。

以前は偏差値が高かったのに今は偏差値が下がってしまった公立高校は、同じ偏差値帯の高校よりも多くの指定校推薦があるケースもあり、そのような公立高校が狙い目ということになります。

なお、そこまで偏差値が高くない高校でも、日東駒専レベルだけでなくMARCHレベルの指定校があることもあります。

< 【お買い得高校を探せ!】東京都立高校の
指定校推薦枠一覧と考察 >

< 商業高校から確実にGMARCH合格
~指定校推薦~ >

評定を高めるために個別指導塾、私立文系なら、英検・活動実績・小論文、私立理系なら英検・活動実績・小論文などを対策してくれる推薦受験対策塾などに通うとより良いでしょう。

< 日本大学の総合型選抜(旧AO入試) >

例えばですが、第一商業高校ビジネス科(商業科)は難関私立文系にも指定校推薦があり、公募推薦、総合型選抜にも力を入れています。

< 進路状況 – 東京都立第一商業高等学校 >

< X – 東京高校受験主義 >

勉強が得意でも苦手でもない場合が
一般受験か推薦受験か迷う

得意→一般受験
普通→一般受験or推薦受験
苦手→推薦受験

ざっくりとした分類としては、勉強が得意なら一般受験、苦手なら推薦受験、普通なら一般受験or推薦受験ということになります。

普通が一般受験か推薦受験か迷うわけですが、両方狙うということであれば、評定平均が4.0以上取れそうな高校に進学することになります。

私立文系は活動実績が作りやすいため総合型選抜・公募推薦を受けやすい傾向にあり、指定校推薦→総合型選抜・公募推薦→一般選抜の流れ、私立理系は活動実績が作りにくいため総合型選抜・公募推薦を受けにくい傾向にあり、指定校推薦→総合型選抜・公募推薦→一般選抜の流れになります。

私立理系であっても総合型選抜・公募推薦試験内容によっては、私立文系の方が受けやすい場合もあるかもしれません。

私立理系は総合型選抜・公募推薦と
一般受験を両立しにくい

私立理系の活動実績はコンテストや探究学習の実績を提出する必要な場合もあり、推薦受験するなら、高校のカリキュラム内で活動実績を作れる高校がいいのかもしれませんが、そのような高校は受験やレポートが大変なため一般受験までなかなか手が回らないでしょう。

私立理系で指定校推薦で希望の大学に入れなかった場合、私立理系は私立文系よりも公募推薦や総合型選抜で受けにくいのが弱点かもしれません。

< 評定平均とは?評定平均を上げるために
できることや算出する方法 >

勉強が普通なら評定平均が取れるタイプなら推薦受験、勉強が普通だけど評定平均が取れないタイプなら一般受験という考え方もあります。なお、高校の評定平均は公立中学校の内申点よりも定期テストの点数のみが重視されやすい傾向にあります。

勉強が普通な子の
タイパの良い大学受験戦略

公立中学校からの大学受験戦略

高校1年生春から高校2年生冬までは指定校推薦を目指して評定平均を上げる勉強をします。
高校3年生秋の総合型選抜・公募推薦に向けて同時進行で英検・活動実績の対策をします。

高校1年生と高校2年生で高い評定平均が取れて指定校推薦で希望の大学に入れそうなら、高校2年生冬以降は指定校推薦のために評定平均を上げる勉強に絞る判断をします。

指定校推薦で希望の大学に入れなそうなら、高校2年生冬以降は私立3科目一般受験のために力を入れて、総合型選抜・公募推薦を推薦受験、私立3科目一般受験します。

一般受験の勉強を開始するタイミングが遅くなってしまうのがデメリットですし、できれば指定校推薦で決めたいところですが、勉強を頑張ることは当たり前としても、指定校推薦で入れる大学がたくさんあり、その割にはレベルが高すぎず高い評定が取りやすい高校を選ぶことが大事です。

書籍になりますが、都内の私立高校や都立高校の合格実績や指定校推薦などの情報がわかりやすくまとまっていました。

< 東京都高校受験案内 2025年度用 >

高校受験塾に通うと
大学の推薦受験で不利になる?

公立中学校からの大学受験戦略

高校受験塾などに通うと、よりレベルが高い高校に入ることができるでしょうが、高い評定平均が必要な指定校推薦、公募推薦、総合型選抜で大学受験する際には、実力よりもレベルが高い高校に入ってしまったら、評定平均を取りにくくなって不利になってしまいかねません。

推薦受験で大学に入る方向性なら、むしろ、難関私立高校や難関都立高校などを目指すコースの高校受験塾には、難易度が高く評定を取りにくい高校に入ってしまいやすくなるため通わない方がいいという考え方もあります。少なくとも重要な課金ポイントではないでしょう。

親が中学生のときに
文系か理系か決める裏技

中学1年生になる頃に子供の理数系の資質(小学校の算数の成績などを勘案して)を考えて、私立理系に行くか私立文系に行くかを(親の中で)決めて、文系なら英語のみの塾に行き、理系なら英語と数学の塾に行くように進路をコントロールしやすいかもしれません。

中学生の頃から、私立文系に入ることを目指すなら、中学は数学の塾に行かずに英語のみに特化した方が有利でしょう。

なお、文系比率の高い高校を選んだ方が文系を選ぶ可能性が高くなります。

私立文系なら英語コースや
外国語学科に特化するのも選択肢

私立文系なら、普通科の英語コースや普通科ではなく外国語学科の英語コースという選択肢もあります。英語コースは英語の時間数が多く英検も取得しやすくなります。通常は高校2年生のときに文系か理系かを決めますが、高校入学前に文系が決まることになります。

公募推薦や総合型選抜の出願資格は英検がネックになることがあるので、英語を重点的に学ぶことにより英検対策になります。

例えばですが、関東国際高校外国語科は指定校推薦が多数あり、英検取得にも力を入れており、公募推薦、総合型選抜で難関私立文系に進学しています。

< 大学の授業を受講する
「高大連携ブリッジ授業」 >

指定校推薦とは違いますが、特定の高校からしか出願できない上智大学のカトリック推薦や青山学院の全国高等学校キリスト教者推薦などがあります。

< 上智大学のカトリック推薦の特徴と
対策方法を徹底解説 >

< 全国高等学校キリスト者推薦(2025年度) >

指定校推薦はタイパだけでなく
コスパも良い

指定校推薦は一般受験よりもお金がかからないというメリットもあります。

指定校推薦で塾に通わなかった場合、一般選抜で塾に通った場合よりもお金がかかります。

受験料は大学一般受験を6校受けたら20万円ほどかかりますし、塾代は高校3年生から1年間通うと100万円、高校1年生から3年間なら200万円くらいかかることもあります。

一般受験の場合、押さえとして1校あたり入学金が30万円ほど余計にかかってしまうこともあります。

公立高校でも私立高校でも大学一般受験をする高校生の通塾率は高く、塾に課金するかどうかにもよるかが大きいですが、指定校推薦に比べて一般受験はお金がかかるのです。

勉強が苦手なら
勉強量の少ない文系が無難

公立中学校からの大学受験戦略

勉強が苦手なら、大学入学後に勉強量の多い理系よりも少ない文系の方が無難です。特に持続力がない場合には、留年してしまうリスク、退学してしまうリスクが高まります。

苦手でもその勉強に興味があるなら良いのでしょうが、レポートや実験などの負担も理系の落とし穴です。

大学の留年率なども確認しておいた方が良いでしょう。特に薬学部、歯学部などは国家試験があるため留年率や退学率も高く、かなりの覚悟が必要です。

< 【保存版】大学留年率ランキング一覧 |
学部別、文系・理系編も >

偏差値が落ちている公立高校は狙い目

特に、ここ最近偏差値が落ちている公立高校は偏差値の割にはレベルの高い指定校推薦が多い傾向にあります。

高校ごとに指定校推薦の大学のレベルや数が異なるので、確認する必要があります。

< 進路状況 – 東京都杉並高等学校 >

穴場は地方公立高校の遠方にある
大学の指定校推薦

私立大学の学費と一人暮らしの費用を出せるほど経済的に余裕があることが前提ですが、地方難関公立高校では学力上位層が国立大学を志望することが多く、遠方の指定校推薦のある私立大学に通うには一人暮らしのために費用が必要なため、指定校推薦の競争が少ないようです。

土日休みの高校は自由度が高い

高校の中には週6日ではなく週5日のこともあります。土曜日と日曜日休みの週5日の方が自由度が高く自習時間も長く取れます。なお、私立は週6日のことが多く、都立でも週5日と週6日の高校があります。

< 毎週土曜が休みの都立高校 >

< 土曜日に授業がない主な私立中高一貫校
【東京都・神奈川県】 >

圧倒的に週5日の方がタイパが良く、指定校推薦を目指すなら公立高校の方が良い理由の一つです。一般受験でも土曜日に自学自習することができます。

定時制高校や通信制高校で
3科目に特化

勉強が得意で個別指導塾などに通い自己管理ができることは前提ですが、一般受験に必要のない授業を受ける必要がなく、部活動やイベントは少ないのは定時制高校、通信制高校です。

授業中にも内職もしやすく、効率よく受験科目を勉強することができます。

< 学校プロフィール – 新宿山吹高等学校 >

< 通学コース – N高等学校・S高等学校・
R高等学校 >

ちなみに、私がタイムスリップして私立3科目受験するなら、定時制高校や週5日スクーリングのある通信制高校に入って、武田塾のようなコーチングしてくれる個別指導塾に通いつつ、参考書や問題集で自学自習を選ぶかもしれません。

大学一般受験において3科目のみ勉強する必要があっても、高校を卒業するには最低74単位も修得が必要であり、3科目以外にも多くの授業と定期テストを受ける必要があります。

そもそも私立大学一般受験と、学習指導要領に沿って多くの必履修科目の授業を受けなくてはならないインプットばかりの高校の集団授業が合っていない、リンクしていないとも考えられます。

< 【高校版】2022年新導入!高校の新学習指導要領の特徴や変更点を解説 >

進学実績を上げるためなら、高校は受験科目の3科目の中でも必要な内容のみ映像授業にして、それ以外は参考書や問題集で勉強する自習時間として、わからないところを教師に聞くというスタイルが理想的ですが、今後もなかなかそのようにはならないでしょう。

中学1年生から中高一貫校向けの
集団塾に通うには能力が必要

四谷大塚偏差値60以上→中高一貫校生徒向けの集団指導塾

四谷大塚偏差値65以上→鉄緑会

小学生の頃から塾に通うのが難しいようなら、中学1年生から中高一貫校向けの集団指導塾に通い、英語と数学の先取り学習するのも選択肢にはなります。その場合は、中高一貫校に通いながら先取り学習する生徒と、同じ進度で勉強できる記憶力と持続力がある能力が必要でしょう。集団指導塾で授業を受けた後にも復習する必要があります。四谷大塚偏差値60以上の中学校に入れる能力がないと厳しいかもしれません。

鉄緑会も結局は御三家などの超難関中高一貫校に合格できる記憶力、論理的思考力、持続力などの才能がある中学生の中でも、中だるみすることなく努力し続けることができる才能がある生徒を、6年間かけて東大や国立医学部に導くシステムです。だいたい四谷大塚偏差値65以上の中学校が鉄緑会の指定校になっています。

鉄緑会ほどでないにせよ、中高一貫校に通いながら先取り学習する生徒が通う集団指導塾もレベルが高く、勉強が苦手な子供はついていけません。

ちなみに、私は高校1年生のときに鉄緑会に通ったことがありましたが、特に私の記憶力、論理的思考力では太刀打ちできず、半年くらいで辞めてしまいました。

入試方式ごとの大学受験に向けての
高校選び

一般受験、指定校推薦、公募推薦、総合型選抜など、入試方式ごとの大学受験に向けての高校選びについてまとめると

・私立文系3教科→私立文系一般受験に実績のある高校
・私立理系3科目→私立理系一般受験に実績のある高校
・指定校推薦→高い評定が取れる指定校推薦が豊富な公立高校もしくは私立高校(できれば土曜日休みの高校)
・指定校推薦(英語コース)→高い評定が取れる指定校推薦が豊富な英語コースのある私立高校

子供の能力によって一般受験するか推薦受験するかを判断することが大事になります。

5.東京都内公立中学校からの
大学付属高校受験戦略
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