「国立大学に行ってくれたら、学費が私立大学よりも安くて助かる」と考える親は多いものですが、本当にそうでしょうか?
大学受験は3科目の勉強でいい私立大学と6教目8科目勉強しなくてはいけない国立大学を目指すかによって、勉強する科目数や勉強量が大きく変わります。
たしかに大学へ自宅から通えるならいいですが、自宅から通えない場合、一人暮らしをする必要があるため、学費だけでなく一人暮らしの費用が重くのしかかります。
経済的な事情も含めたとしても、私は国立大学を目指した方がいい子供はごく少数と考えます。
一人暮らしすることになり、家賃、光熱費、車社会なら車の費用(自動車本体、車両保険、ガソリン代、駐車場代など)、実家でないため食費も余計にかかります。
仮に、国立理系と私立理系で学費が大学4年間で300万円、国立文系と私立文系で学費が大学4年間で150万円違ったとしても、一人暮らしの費用で月8万円、年間100万円多くかかるとなると、4年間で400万円になります。
都会なら家賃が高かったり、地方でも車が必要なら車の費用もかかったりなどして、年間100万円以上かかる場合もあるかもしれません。
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また、理系は実習やレポートがあり文系よりも勉強量が多く、国立は私立よりも勉強量が多い傾向にあり、アルバイトがしにくいというのもあるでしょう。
国立大学を目指すことの大きな問題点は、自宅から通える距離の場所に自分の学力に合った国立大学がないことが多く、一人暮らしの費用も追加でかかることです。
確実に入れそうな国立大学が通える範囲にない場合、最初から自宅から通える私立大学を目指した方が、私立大学一般受験に必要のない科目の勉強をする必要もなく、その分ランクの高い大学に入ることもできるでしょう。
私立大学は難易度の異なる大学を複数回受験できるにも関わらず、国立大学は共通テストの科目数が多いだけでなく、前期と後期の計2回ほどしか受験することができないのは大きなデメリットです。
公立高校の教師はいわゆる国立信仰があり、公立高校は国立大学の進学者数で実績を評価されることもあり、私立大学より自宅から通えなくても国立大学を目指すことをおすすめします。
しかし自宅から通える私立大学があるのに、自宅から通えない同じレベルくらいの国立大学を目指すように指導することに関しては疑問を感じます。
国立大学を目指すクラスに入っているものの国立大学は不合格となり、結局は滑り止めの私立大学に進学することになってしまうことはよくあります。
V模擬偏差値60くらいの都内の高校の国立大学向けのカリキュラムのクラスからは、なかなか合格者がいないのが実情です。ましてや、自宅から通えるであろう国立大学に合格することはほぼありません。
私が高校3年生のときに所属していた城北高校の選抜クラスではない国立理系クラスでは、多くのクラスメイトは国立大学の理系を目指していましたが、自宅から通える国立大学理系に現役合格したクラスメイトはほとんどいませんでした。
それにも関わらず、なぜそのようなコースがあるのでしょうか?
やはり子供だけでなく親からのニーズがあるからそのようなコースがあるのでしょうが、親としては一人暮らしの費用も計算に入れた上で、自宅から通えない国立大学と自宅から通える私立大学に進学した場合の費用も把握しておくべきです。
どうしても経済的に厳しいようなら、費用の安い自宅から通える私立文系にしてもらうのも選択肢ではないでしょうか。私立文系でも数学が得意なら受験科目に数学を選択することができます。
浪人してでも国立大学に入った方が良いという意見もありますが、1浪して国立大学に入ったとしても、1年間働く期間が短くなりますし予備校の費用もかかります。
予備校の費用や将来の稼ぎにもよりますが、宅浪したとして将来の年収を500万円とすると、少なくとも500万円、有名大企業会社員なら1000万円損する計算になるわけです。
例えばですが、経済的な観点から考えると、現役で日東駒専レベルの大学だったのが1浪してMARCHレベルに確実に合格できるのでしたら、浪人した方が良いかもしれませんし、1浪してMARCHレベルに30%、早慶レベルに10%なら、浪人しない方が良いかもしれません。
本人の意思が一番でしょうが、今までの模試の成績、本人の受験力、浪人へのモチベーションなども影響します。
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、愛知県などの都会に住んでいるなら、よほど交通の便が悪くなければ自宅から通える範囲に多くの私立大学がありますから、最初から私立大学受験に特化した方が良いのではないでしょうか。
全国的には全入学者のうち国立大学(公立大学含む)2割、私立大学は8割で、一都三県の私立大学入学率は9割ほどです。
< 国公立大学に入学できる受験生の割合は?
~学校基本調査結果より~ >
一都三県で私立早慶よりも明らかに難易度が高いのは東大、東京科学大、一橋大くらいです。公立小学校で上位5%以内、クラスでもトップレベルでないと国立大学を目標にするべきではないという考え方もあります。
ちなみに、日本人の半分くらいは上記の都道府県に住んでます。
都会と地方を明確に分けることができるわけではありませんが、都会ではなく地方に住んでいると、自宅から通える学力に合った大学の選択肢が少なく不利というのはあるでしょう。
都会→自宅から通える私立大学
地方→自宅から通えない国立大学
都会なら自宅から通える私立大学、地方なら自宅から通えない私立大学ではなく、自宅から通えない国立大学という選択になりがちです。
一人暮らしの費用が払えないために、地元の国立大学に入れなければ、地元の専門学校に進学するか就職するという経済状況の場合もあるでしょう。
都会と地方の差は塾、中学校、高校などの格差があるとよく言われますが、一人暮らししなくてもいい自宅から通える大学があるかどうかの格差が非常に大きいです。
少なくともその地域の難関国立大学に多くの生徒が進学するような地方の難関公立高校に入れるレベルでないと、難関国立大学を志望しても一般受験で合格する可能性は低いでしょう。
入れそうな国立大学はあるものの、そこの国立大学の偏差値が自分の偏差値より低すぎて、都会の自分の偏差値帯に合った私立大学に行った方が良いかもしれないというケースは悩ましいです。
自分の偏差値が55で、自宅から通える難関国立大学の偏差値が60で入るのが難しく、次の偏差値帯で自宅から通える国立大学の偏差値が45で入ることはできるにしても、自分の偏差値よりもかなり低くなってしまいます。
また、地方の大学は都会の会社に就活する際には交通費、宿泊費などもかかり、その国立大学のある地域にある会社には強いのかもしれませんが、都会で就活するなら就活情報も入りにくくインターンもしにくく不利ではあります。
就活のことも考えて、将来働きたい地域の大学に行くというのは考え方としてはあるのではないでしょうか。
私立3科目受験に特化していたら私立3科目の平均偏差値60だったにも関わらず、国立8科目受験向けの勉強をしたばかりに平均偏差値が55しかなく、偏差値60の難関国立大学と偏差値60の私立大学(MARCHレベル)両方に落ちてしまい、滑り止めとして受けた偏差値50の私立大学(日東駒専レベル)に入ることもあり得ます。
どちらにせよ一人暮らしするのであれば、国立大学を目指さずに私立理系なら300万円多く私立文系なら150万円多く支払ってでも、投資的な観点からも1ランク上の大学に入って、就活に有利な方が良いという考え方もあります。
高校にもよりますが、理系と文系以外に、国立理系、私立理系、国立文系、私立文系のクラスに分かれることもあります。また、私のように私立志望なのに国立クラスに入るのは、一般受験に使用しない科目を勉強するのは時間的にもったいないことではないでしょうか。
基本的には、高校3年生に進級する際に、クラスのレベルが国立の方が高かったとしても、国立クラスを選ぶより私立クラスを選ぶべきでしょう。
クラス分けについて高校のホームページに書いてなかったら、高校の個別相談会などで確認するといいかもしれません。
高校受験をする中学3年生のときに、どのような高校を選ぶのかは重要です。
国立大学を目指すか、私立大学を目指すかは高校選びにも大きく影響します。
同じ学力であったとしても同級生が国立大学を目指しているばかりなら、国立大学を目指しやすくなりますし、その高校のカリキュラムや進学実績も参考になります。
公立高校よりも私立高校の方がカリキュラムが私立大学受験向けに柔軟、具体的には選択科目が多い、部活の引退が早い、高校3年生にイベントが少ないため、私立大学を目指すには若干有利な傾向はあります。
国立大学を目標にするか私立大学を目標にするかは受験戦略全体を考える上で、非常に重要なポイントになります。
私立大学3科目受験なら受験科目以外の授業をしっかり勉強する必要はないですし、内職していた方が受験には有利です。
特に私立文系3科目受験なら数学を勉強しなくていいことが大きく、中学受験をするメリットが少なくなります。
国立大学を目指さず私立大学を目指すことにより、中学受験、高校受験、大学受験の戦略も変わってくるのです。
3.中学受験よりも