少し前までは、店舗ビジネスでは広告というと、チラシの配布や看板の設置が中心でした。
しかし、スマホが普及し、店舗をキーワード検索で探すようになり、ポスティングや新聞折り込みなどのチラシの配布、駅ホームなどの看板の設置は、以前よりも効果がなくなりつつあります。
店舗ビジネスのコンサルティングをしていて広告を提案すると、店舗オーナーから「うちの業界は広告をするほどではない」「広告を出す予算がない」などと拒絶されることがあります。
結論としては、ほとんどの業種では、グーグルとヤフーの検索連動型広告を出した方が良いです。
目安としては、1人あたり来店するのに広告費1000円以上支払っても利益が残る店舗ビジネスであれば、広告する価値があるといえます。
一度設定してしまえば、放置していてもよいため、手間もかかりません。
検索連動型広告の仕組みを理解した上で、月ごとの広告費の上限を決めることができますし、1クリックあたりの入札価格の上限を決めることができるため、コントロールすることができます。
例外としては、既に地図検索や自然検索で上位表示を独占している場合や、1人あたりの来店あたり広告費1000円を出しても採算があわない業種では出さないこともあります。
「どれくらいの費用をかければいいのでしょうか?」大変よく聞かれる質問です。
広告費は、売上、経費、利益など店舗の状況により大きく異なります。
少し複雑ですが、売上、経費、利益などから、どれくらいかけるべきか計算することができます。
1人あたり来店するのにかけることのできる広告費は、1人あたり来店した際の生涯の売上と経費が関係します。
例えば、1回1時間のカットが5000円の理容室があったとします。
理容師の1時間あたりの時給と、店舗の家賃などの諸経費が計3000円だったとします。
そうすると、1人あたり来店するのにかかる広告費は、2000円未満であれば、利益が出ることになります。
勘がいい人なら気づくもしれませんが、1回来店したお客さまは、リピートもするはずです。
仮に、1回来店すると2回リピートするなら、合計3回来店することになります。
1人あたり、生涯の売上(5000円×3回)-経費(3000円×3回)=6000円になりますので、1人あたり来店するのにかかる広告費は6000円未満であれば、利益が出ることになります。
もし仮に、1人あたり来店するのにかかる広告費が1000円、1日5人、1ヶ月20日間稼働しているとすると、1ヶ月100人を集客したいなら、1000円×100人=10万円が1ヶ月の広告費になります。
1人あたりの来店による利益が大きい店舗ビジネスほど、多くの広告費を投入することができる傾向にあります。
検索連動型広告を出した際には、1クリックあたりの入札価格を設定します。
いくらに設定すればよいのかは、1人あたり来店するのにかかる広告費をいくらに想定するかによって変わります。
1人あたり来店するのにかかる広告費を1000円として、広告経由でサイトを閲覧した人が実際に来店する確率(コンバージョン率)を10%とすると、クリック平均単価は、1000円×10%=100円になります。
適正な入札価格は、100円ということになります。
上記の理容室であれば、1人あたり来店にかける広告費は高くても数千円になりますが、より利益が大きい業種であれば、上限は跳ね上がります。
例えば、工務店が内装工事を受注したい場合を考えてみましょう。
わかりやすく1回の工事につき売上3000万円、経費2000万円、利益1000万円、広告費を100万円とします。
見積もりなどの問い合わせがあり、工務店の事務所に来店した人が工事を発注する確率が10%とすると、100万円×10%=10万円が1人あたり来店するのにかけることができる広告費です。
広告経由でサイトを閲覧した人が実際に来店する確率(コンバージョン率)が、1%とすると、クリック平均単価は10万円×1%=1000円になります。
計算が細かく、よくわからなかったとしても、利益が大きいとクリック単価が高くなっても採算が取れることがおわかりいただけたかと思います。
簡単に言うと、利益が大きいなら、広告費を沢山かけても元が取れるということです。
通常、新規開店したばかりのときは、認知されておらず来店する客が少ないです。
広告をしっかり出して、売上を確保するべきです。
1回目の来店では利益が出ないレベルで広告費をかけたとしても、リピートすることによって利益を確保できます。
「新規開店でお金に余裕がない」という理由で、広告しない店舗オーナーは本当にもったいないことです。直感的にはわかりにくい概念なのかもしれません。
固定費とは、売上の増減にかかわらず発生する一定額の費用のことをいいます。
店舗ビジネスは、人件費や家賃などの固定費が一定ですので、売上を安定させるために、広告費用を調整することもあります。
一般的には、来店が少ない閑散期には、来店の落ちこみを補うため、広告費用を高くします。
逆に、来店が多い繁忙期には、広告しなくても来店があるため、広告費用を低くします。
閑散期と繁忙期の売上のバラツキを広告によりおさえることができます。
閑散期は、利益が少ないので、多くの広告費が出しにくいと考える店舗オーナーもいますが、広告費を多くかけてでも来店客数を増やし、その分利益を増やす方が利益が多くなります。
なお、固定費が一定でないネット通販などでは、閑散期より繁忙期に広告費用を高くすることもあります。
業種によっては、グーグルディスプレイ広告、フェイスブック広告、ユーチューブ広告が有効な場合もあるかもしれませんが、店舗ビジネスは地域が限定されているのため、費用対効果が合うケースは少ないです。
利益額が大きく広告媒体と相性が良ければ、費用対効果を見極めた上で判断すると良いでしょう。
広告代理店は手数料が20%以上かかりますし、必ずしもその業種の広告についてよくわかっているわけではありません。
私も広告代理店に依頼して大失敗したことがあります。
店舗オーナー自ら、もしくはスタッフなど自分たちでおこなうべきです。複雑な運用をしなければ、簡単にできます。
スタッフに任せた場合、広告担当のスタッフが退職してしまうと一から教えないといけなくなるので、長く勤めてくれそうなスタッフに任せることをおすすめします。
また、検索連動型広告を出すことにより、自然検索や地図検索の仕組みについても理解が深まります。
是非、挑戦してみてください。
グーグル広告とヤフー広告を出すのであれば、両方を出した方がよいです。
どちらか1つを選ぶのであれば、ヤフー広告よりもグーグル広告を選びます。
両方出すにせよ、最初に設定するのはグーグル広告が良いです。
初めて広告を出す場合は、「完全一致」にしてください。
完全一致の場合、例えば、「新宿+マッサージ」で設定したら、「マッサージ+新宿」では、表示されないため、「マッサージ+新宿」も設定する必要があります。
完全一致は、無駄なクリックが発生しにくく、広告運用に慣れていない人でもコントロールしやすいです。
「部分一致」「フレーズ一致」などもありますが、慣れてきて必要性があれば検討しても良いでしょう。
ちなみに、どのような違いがあるのか、新宿のマッサージの広告で、完全一致、部分一致、フレーズ一致の例にすると、
完全一致 「新宿+マッサージ」
部分一致 「新宿+リラクゼーション」
フレーズ一致 「新宿+マッサージ+おすすめ」
などの違いがあります。
詳しい違いについては、以下をご参考にてください。
〈 完全一致の概要と特徴、フレーズ一致との違い|
リスティング広告(株式会社Andクリエイト) 〉
細かい設定は沢山ありますが、押さえるべきは、「タイトルと説明文」「入札価格」「配信時間帯」の3つがあります。
タイトルに「検索キーワード」と屋号も含めます。
例えば、新宿にあるマッサージ店で、ABCマッサージという屋号の店舗があり、「新宿+マッサージ」というキーワードであれば、
新宿でマッサージならABCマッサージ店へ
新宿西口1分、南口2分、肩こり・腰の痛みなど、30分3000円~
説明文は場所、サービス内容、料金などを掲載します。
タイトルや説明文が思い浮かばなくて困ったら、「大阪+マッサージ」などで検索してみて、別の地域で出している同じ業種を参考にしてみてください。
広告で表示されたとき、必ずしも設定した文字がすべて表示されるわけではありませんが、すべてを埋めた方が良いです。
入札価格の上限を決めます。クリックされても必ずしも上限金額がかかるわけではありません。
上限金額を100円にしても、1クリック平均単価が60円などになることもあります。
定休日や営業終了後は、入札価格が下がるように設定します。
例えば、日曜日や午後9時以降は閉店中であれば、土曜日午後9時から月曜日午前6時までの間は、入札価格を50%オフ(通常の50%)にして、月曜日から金曜日の午後9時から翌午前6時までの間は、入札価格を30%オフ(通常の70%)にするなどします。
数値はあくまで例になりますのでご注意ください。
配信時間については、業種によってはあまり入札価格を前後させないこともあります。
上記の方法で問題なく広告は出せますが、もし、細かい設定を知りたい場合は、以下のページを参考にしてみてください。
〈 【2019年度版】新しいグーグル広告の使い方を
やさしく解説(バズログ) 〉
グーグル地図検索にも広告を出すことができます。
地図検索の上に表示されるグーグル検索連動型広告と区別するために、グーグルローカル検索広告と呼びます。
グーグル検索、グーグルマップ検索をすると、地図検索一覧の最上部に、広告マークと共に、地図検索の一覧と同じように店名などが表示されます。
ちなみに、ヤフー地図には広告を出すことはできません。
グーグルローカル検索広告だけで広告を出すことはできず、グーグル検索連動型広告と同時に出す必要があります。
グーグルローカル検索広告を出すには、Google広告アカウントとGoogleマイビジネスをリンクさせる必要があります。
詳しいグーグルローカル検索広告は、以下のページをご参照ください。
< 【2019最新】Googleマップに広告?5分で分かる「ローカル検索広告」とは >
< ローカルビジネスには欠かせない、Googleマップに表示できる「ローカル検索広告」とは? >
グーグルの地図が表示されるサービスは、主にグーグル検索とグーグルマップ検索があります。
グーグル検索では、検索結果画面に、自然検索と共に地図が表示されます。
グーグルマップ検索して、検索結果画面に、地図だけが表示されます。
GPSも性能が良くなり、グーグルも強化しておりますので、今後、グーグルマップ検索の利用は増えていきます。
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