クリニック経営の教科書 8.開業するまでに
知っておくべきこと

勤務医と開業医の最も大きな違いは、その責任範囲でしょう。

大学病院や総合病院で働く勤務医は、言うならば大手企業の従業員。一方の開業医は、中小企業のオーナーのようなものです。開業医は、医師であると同時に「経営者」になります。

勤務医は医療従事者として医療に特化した専門的な能力を求められ、それが評価されます。一方、開業医は地域に根差した医療を行い、自分のクリニックでは治療できない重症患者は大病院に紹介することで、クリニックと大病院では住み分けがなされています。

開業医が診る患者さまの症状は、急患を受け入れる大学病院などに比べて症状が軽度なことが多いですが、その一方で、クリニックの院長には、医療従事者としての顔以外に、クリニックの「経営者」としての責任が課され、その全てを自分で管理しなければならないのです。

具体的には、クリニック経営者には、資金調達、各種届出、医療機器の選定や価格交渉、スタッフの採用、はたまた税金を納めることまで、医療以外のさまざまなことを、中小企業のオーナーがそうであるように、意思決定しなければなりません。

開業までの8つの流れ

勤務医と開業医の違い

まず、開業までの流れについて説明します。

(1) 税理士を決める(遅くても開業の半年くらい前までに)

(2) 資金調達

(3) 開業場所の選定

(4) 家賃交渉(遅くても半年前までに)

(5) 調度品・医療機器・備品・検査会社の価格交渉(相見積もりを取り始める)

(6) 図面を持って、保健所に事前に開業相談

(7) ホームページ制作会社にクリニックのホームページ制作を依頼

(8) 採用(事務・看護師)

以上が、開業までの大きな流れですが、ここで、その折々のポイントを説明してみましょう。

資金調達

資金の調達の方法は、銀行からの融資、身内からの借金、預貯金が一般的です。通常、一般的な内科クリニック(賃貸)の開業資金は、3000万円〜5000万円前後かかります。下記に典型的な内科クリニック(賃貸)の開業コストの内訳を挙げてみます。

● 敷金500万円家賃50万円、敷金が家賃10カ月分の場合

・ 内装工事代1,500万円
・ 電子カルテ代300万円
・ 医療機器代1,000万円 レントゲンや心電図など
・ ホームページ制作費100万円1年分の管理料含む
・ 備品200万円
・ 運転資金400万円

合計4,000万円

届け出

● 診療所開設の届け出・保健所や厚生局への届け出

診療所を開設する際は、まず開業する場所の図面を持参して地元保健所に相談し、診療所開設の届け出をしなければなりません。その際、「内科の場合は、診察スペースの床にはじゅうたんのような汚れが染み込みやすい素材ではなく、防水加工されている素材を使うようにしてください」「密閉された個室には煙の感知器をつけてください」など、保健所が定めている多数の要件があるので、それらの要件を全て満たすように設備作りを進めなければなりません。

これから開業しようという医師にとっては初めてのことになると思いますが、この際、薬の卸会社の関連会社に知恵を借りるのも一案です。たとえば、メディセオ、スズケン、アルフレッサなどの薬の卸会社の関連会社に話をすると、診療所開設に協力してくれる可能性があります。薬の卸会社の関連会社は、数多くのクリニック開業に立ち会ってきているので、その道に長けているケースが多いものです。

具体的には、保健所と相談する際のアドバイスをいただいたり、必要書類の書き方を教えていただいたり、診療報酬(レセプト)のチェックをしている厚生局に届け出をするお手伝いをしていただいたりすることができるでしょう。

卸会社側からすると、これらの依頼を受けることで開業後に取引が見込めるというメリットがあります。一般的に、薬の卸価格は内装費や検査費と違って納入価格の下げ幅が大きくありません。

内装工事

一般的に、医師は、「世間知らずで、お金に余裕がある」と思われており、クリニックの内装工事の見積もりが高い傾向にあります。内装工事会社は、特に医療機関専門の会社でなくてよいと思いますが、クリニックの内装工事を行った経験のある会社が良いです。

● スケルトンより事業所仕様

スケルトンとは、コンクリートがむき出しになっている状態で貸しに出されているテナントのことです。完全なスケルトンのテナントを借りた場合、自分で床や天井を貼り、トイレや空調設備を設置しなければなりません。場合によってはトイレの設備を設置しなければならず、初期費用が負担になります。特に空調設備は投資額が大きくなる傾向があるため、設置してあるテナントを選ぶことをおすすめします。

一方、事務所や店舗仕様の場合は、事務所や店舗として使える状態で貸し出されるため、床だけを保健所のクリニック開設基準に合うものに変更すればよい場合もあります。

● 原状回復工事について確認する

賃貸契約を終了し、移転・閉院する際は、テナントを借りたときの状態に原状回復をしなければなりません。特にスケルトンで借りた物件を工事して使っていた場合は、元の状態に戻すために高額な費用がかかる場合があります。最初に契約する際は、返すときのこともしっかり確認しておくべきです。

電子カルテ会社の選び方

電子カルテの選び方

電子カルテの会社は数多くありますが、シェアの大きな電子カルテ会社でないと、後になってシステム開発へ投資し続けることになる可能性があります。十分なシェアがあり、自分にとって使いやすい会社を選定しましょう。

● シェアのある電子カルテ会社

・ PHC社(旧パナソニックヘルスケア)「Medicomシリーズ」
・ ビー・エム・エル社「Medical Station」「Qualis」
・ ラボテック社「SUPER CLINIC」
・ その他

● クラウド型電子カルテ会社

・ エムスリーデジカル社「M3 Digikar」
・ Donuts社「CLIUS(クリアス)」
・ メドレー社「CLINICSカルテ」

予約システム

予約システムを導入するクリニックのほとんどが、開業前に「予約システム」を導入します。けれども私は、まずは開業し、それから予約システムを導入するという手順でも遅くはないのではないかと思います。

なぜなら、予約システムには多くの種類があり、どれを選んだら良いのか分かりづらい上に、いざ開業してみたら開業前に想定していた患者の層とは違う層の患者が来院されるケースもあるからです。

たとえば、30〜40代の比較的若く、ネット予約が苦にならない患者が多く来院すると考えてネット予約システムを採用したけれども、実際は高齢者の患者が多く来院されるような場合、30〜40代の患者にとって便利なはずのネット予約が高齢者にとって仇となり、結局ネット予約が使えない患者の電話予約のために事務を配置しなければならなくなった、という事態にもなりかねません。

もちろん、予約することで患者が来院を忘れないでいてくださるメリットは大きいのですが、その一方で予約システムが故障すると受付が混乱するケースがあることも留意しておかなければなりません。

なお、新宿駅前クリニックでは予約を取らず、来院順に診ています(そのため予約システムは導入していません)。当院はその土地柄から、ビジネスマンが多く来院します。一日にいくつものスケジュールをこなし、正確な予約時間に来院できないほど多忙なため、当院では、「予約不要」で「待ち時間が短い」ことを前面に打ち出し、ビジネスマンの方がご自身の隙間時間に、すぐに来院できるようにしています。

診察順表示

患者を番号表示し、診察順を示すことで、患者に残りの待ち時間の目安をお知らせするシステムで、順番がはっきりしない場合よりもストレスが少ないのが特徴です。

個人情報の保護に配慮し、患者を名前で呼ばずに番号で呼ぶことができるのもメリットです。デメリットとしては、医者に名前で呼ばれることで親近感を感じる患者さまに応えられないことや、番号を勘違いして別の患者さまが入室されるケースがあることが挙げられます。

医療用検査機器の選定

レントゲンや心電図など、それぞれの科目に応じた検査機器がありますが、クリニックの経営を考えると、開院時に検査機器を導入するのは最低限にしておきましょう。なぜなら、クリニックは立ち上がりの時期(開院時)の資金繰りが最も大変になるからであり、利益が出るようになる前の時点でクリニックが銀行から追加融資を受けることは難しいことがあるからです。

実際、開院時に医療機器を導入しすぎたことが原因で収支が合わず、閉院に追い込まれてしまうクリニックもあります。

医療機器をリースすることは、クリニックの固定費を上げることと同じです。検査機器の営業の方は、最新の検査機器の魅力を語りかけてくるでしょうが、じっくり検討するべきです。

開院当時の検査機器には、中古の機器を導入するのも一案です。最低限でスタートし、患者さまの層が分かり、本当に必要な機器を見極めてから導入するのでも決して遅くないからです。

備品の調達

備品には、「医薬品」と「事務用品」の2種類があります。
「医薬品」とは院内で使用する飲み薬や塗り薬など、「事務用品」とは診察券、問診票、薬袋、ボールペンなどです。

医薬品は、メディセオ、アルフレッサ、スズケンなどの薬の卸会社でそろえることができます。各社とも、事前に契約書を取り交わします。事務用品は、「ASKUL(アスクス)」や「SHINRYO(シンリョウ)」などでそろえることができます。

アスクルの法人向け(オンライン)には、「医療・介護施設用家具/備品」が一覧になっていますし、SHINRYOも、クリニックで必要になる事務用品は、ほぼ全て取り扱っています。

検査会社の選び方

基本的には、検査会社から相見積もりを取り、検査費用の安いところを選びます。
また、検査量が増えてきたら定期的に検査会社の費用を見直し、あまり協力的ではない場合は他社に変更することなども検討しても良いでしょう。また、検査会社には地域性もあります。検査会社は、毎日のように採取した血や尿などの検体を回収しますが、それはルート集配なので自分のクリニックがその何番目に組み込まれるのかによって利便性が変わってきます。

また、駐車場があるなど、検査会社の集配車を停めやすいかどうか、という要素が影響する場合も多々あります。

失敗しない値段交渉

次に、クリニック内で用いるシステムや電子カルテなどの備品の調達方法について説明します。

これらの備品を購入する際は、できるだけコストをかけないよう、必ず見積もりを複数社取り、それぞれに競合の価格を示すことで値下げ交渉を行うことが大切です。設備コストを下げることができれば、それを人件費や次の投資として活用することができるのですから、交渉の手間を惜しんではいけません。

また、値下げを交渉する際はやみくもに値引きを求めるのではなく、値下げのロジックを提供することが大切です。どこの会社でも営業担当者には上司がいますから、担当者が上司に説明できる「値引きの材料」を用意するのです。

それには、一社の話だけを聞いてそのまま契約するのではなく、複数の会社から見積もりを取って値下げ交渉を行うことがポイントになります。

(1) まずは交渉する内容について、インターネット、本、人の紹介などから、情報収集します。

(2) インターネット上や紹介などから複数の交渉相手を探し、メールや電話で連絡します。 

(3) その際、価格に関しても、まずはメールで見積もりをもらうようにすると良いでしょう。見積もりが他の会社と比べて明らかに高い場合は、実際に会う前に丁重にお断りのメールをするべきです。

(4) その後、実際に担当者と会い、具体的な条件を確認します。

(5) それを繰り返し(3社以上と相見積もりを取り)、比較検討します。

(6) 相見積もりを取っていることを話し、価格交渉をします(通常、価格を下げる場合は、営業担当者だけでなく、その上司の了承が必要になります。

競合会社が提示した具体的な金額を示すことで、担当者は値下げの余地があるかどうかを上司に打診しやすくなります)。

(7) 値下げの理論的な理由を話す

単価を下げてもらえれば取扱量を増やす、契約年数を延ばす、契約しそうな見込み客を紹介するなど、担当者が上司へ割引の理由を説明できるようにロジックを考え、提示します。

(8) 書面で条件を確認して契約します。

当然、会社側はできるだけ利益が出るように交渉したいと考えますし、クリニック側としては、費用負担を軽減したいと考えているわけですから、相手の立場も考え、冷静に互いの妥協点を見つけることが大切です。

こちらが購入する側であるからといって、偉そうに振る舞うことなく、誠実に対応することで、取引先と円滑な関係性を構築するようにしてください。それは、取引先のほうも、横柄で高圧的な印象の悪い先生より、印象の良い先生のほうにサービスしたいと思うからです。たとえば、相手の会社の人のことを「業者さん」と呼ぶなどの行為は、相手にとって心地よい言動とは言えません。

勤務医と違い開業医は、取引先とは円滑な関係を構築しておいたほうが有利です。相手の立場を考え、一定の時間をかけ、手間を惜しまず交渉を進めましょう。ただし、あまり何度も交渉しすぎると相手側もうんざりするので、計画性を持って交渉することも大切です。営業にもコストがかかっていますので、相手側の気持ちをや立場を理解するべきです。

チラシはネットで頼んだほうが安い

当院のチラシは、ネット上の印刷会社に依頼しています。

チラシの制作が2円/枚、ポスティングが5円/枚程度であり、チラシのデザイン料として3万円支払ったとしても、1万枚を約10万円で制作からポスティングまで依頼できます。また、ポスティングではなく、初めて来院された方に、受付でチラシをお渡しすることも、クリニックをより詳しく知ってもらいやすくなります。

税金

税金

〈 個人課税と法人課税 〉

クリニックは通常、個人と法人(医療法人)のどちらかで運営されます。個人と法人では納める税金の種類が異なります。最も大きな違いはその税率で、個人課税であれば所得税には累進課税が適用され、所得に応じて最高45パーセント(住民税を合わせると55パーセント)の税金がかかります。一方の法人課税であれば、約30パーセントの税金がかかります。

わざわざ医療法人にするメリットはあるか

クリニックを経営する上で、税金は避けて通れない問題です。一般的に開院当時は、設備投資の償却費やリース料などもあるので課税額は抑えられていますが、数年が経過しクリニックの経営が軌道に乗ってくると、それに従って税金の負担も重く感じられるようになってくるものです。

そこで一般的に多いのが「医療法人化」するという手段ですが、私は法人化にはメリットが少ないと考えています。

個人で納税するよりも法人で納税するほうが納税額が少ないので、一見すると法人化したほうが良いように思われるでしょう。けれどもどれだけ法人にお金を残しても、医療法人に残ったお金は医療にしか使えません。しかも医療法人は株式会社のように利益配当することができず、配当を出すようなシステムもないので、ただただ利益が積み重なっていくだけです。

それでもクリニックに後継者がいればまだ良いのですが、引き継ぐ人がいない場合は、最終的には、解散した場合、国や地方自治体に帰属することになってしまうのです。

そうならないための制度として、医師がリタイアした際にはその退職金として払い出しが可能なのですが、その場合は、法人税と所得税が二重に課税されることに留意すべきです(法人税を納めた後の医療法人のお金が退職金として支払われるため、その際に所得税がかかります)。

医師優遇税制を知らずして開業してはいけない

クリニックの経営には、知っておくと有利な税制度があります。その一つに挙げられるのが、医師優遇税制(措置法26条の概算経費)です。これは、「クリニックの経費には(通常の法人と異なり)概算が認められる」という開業医に特異な制度です。

通常の法人では、売り上げから経費を差し引いた利益の金額に応じて課税されますが、医療業の場合は特例として、実際の経費と概算の経費のどちらか優位なほうを選択することができるのです。つまり、経費を抑えて運営をしていれば、実際に使用した経費よりも高い金額で税務申告できるので事業所得の金額が抑えられ、それによって最終的な納税額も少なく済むということです。

たとえば、1年間の社保収入が5000万円の開業医の場合、その57パーセントの2850万円に490万円を足した合計3340万円が経費として認められます。もしも実際にかかった経費が2000万円だった場合、3340万円-2000万円=1340万円分の課税がされません。ただし、これには最高でも「年間の社会保険診療報酬額が5000万円以下(年間の売り上げが7000万円以下)」などの条件があります。

この特例のメリットはとても大きいので、個人でクリニックを経営し続けようという場合は是非、活用すると良いでしょう。たとえば、年末年始を多く休むことで年間の保険診療を5000万円以下に抑え、毎年「措置法26条」を活用することで節約しているクリニックは多くあります。

逆に言うと、もしも医師優遇税制を使わないで手取りの収入(所得税などを引いた後の実際の収入)を同じにするには、ざっくり言って1.5倍の売り上げを上げなければいけません。

保険診療分の年間売り上げが5000万円以上になる場合は、医師優遇税制の利用はできません。医師優遇税制を利用せず、業拡大を検討するのは、年間売り上げが1億円は見込めるだろうと算段できたら、ということになるでしょう。

● 医師優遇税制を知らずして、開業してはいけない

たとえば、年間の売り上げが5000万円のクリニック(医師優遇税制を使わない場合)の売上構成比を図式化したものです。 

売り上げ5000万円の場合、固定費(家賃+人件費+雑費)をおよそ2000万円とすると、医師の個人所得は3000万円となります。

以下の場合、税率は合計50パーセント、控除額は279万6000円(平成28年分)なので、所得税と住民税の合計は、3000万円×0・5-279万6000円=1220万4000円(約1200万円とします)。

すると、おおよその手取りは3000万円-1200万円=1800万円となります。

注意しなければならないのは、借金は、固定費(経費)から返済するのではなく、この手取りの金額の中から返済することになるということです。

医師優遇税制を使うことで、みなし経費分は所得税と住民税がかからないため、実際の医師の手取りも増えることがご理解いただけると思います。優遇税制を使わないと、手取り1800万円ですが、使うと、手取り2440万円になります。

実際は健康保険料などがかかりますので、正確な数字ではありません。詳細は税理士にご相談ください。ここで気をつけなければならないのが、経費を増やさないことです。

医師優遇税制を使った売り上げ5000万円のクリニックで効率良く稼ぐには、経費ができるだけかからないような開業プランを立てれば良いということになります。これを知らずに開業してしまう医師は多く、これが原因で経営がおかしくなってしまうクリニックが多く存在するのも事実です。

「はじめに」で述べたように、医療を取り巻く環境が右肩下がりの今、経費の計算を度外視してはならないことを、特に強く忠告したいです。現状、個人開業している医師にとって非常に有利な税制ですが、将来、医師優遇税制が廃止される可能性もありますので、その点ご留意ください。

● 医師優遇税制を導入する際のポイント

ここでは、医師優遇制度を導入する際のポイントを、5つ挙げておきましょう。

(1) 高額な医療機器を導入しないこと(内科であれば、レントゲンと心電図以外は導入しないなど)

(2) 無駄な人材を雇用しないこと(内科であれば、事務常勤2名。看護師は必要が出てきたら雇用など)

(3) 必要以上に広い賃貸物件を借りないこと(家賃が安ければ、経費がかからない。内科であれば30坪以下が目安)

(4) クリニックの内装にお金をかけすぎないこと

(5) 年間の社会保険診療報酬額が5000万円以下、かつ自由診療の売り上げを多くしすぎないで、年間の売り上げを7000万円以下に抑えること

どのような税理士を選んだらいいのか?

クリニックの経営にとって、税理士の役割は大変大きいです。まれに院長夫人などが給与計算を行っているクリニックもありますが、院長が自ら行おうとはしないほうが良いです。

医師は、医師にしかできない業務に集中したほうが、効率が良いからです。

税理士は特に何もなければ、月に一度会い、給与計算を依頼します。また、年に一度、税金の申告も代行していただいたり、各種、税務署への提出書類も代行してもらえます。

医療機関の税務は一般企業に比して特殊なので、クリニックの税務経験がある税理士でなくてはいけません。一度担当していただくと、毎月お会いすることになるので、相性の良い人がいいでしょう。

よくあるのは、税理士事務所の所長や営業担当者とは気が合って顧問契約したものの、所長以外の税理士が担当になり、その担当の人とは気が合わないケースです。所長が個人でやっているところであればそのようなことはないでしょうが、あまりにも折り合いが良くない場合には、担当税理士を代えてもらうのも一案です。

社会保険労務士と契約するべきか?

社会保険労務士とは、人事や労務管理を専門に取り扱う国家資格者です。社会保険労務士は、月々の給与計算の代行や、社会保険手続の代行、就業規則の作成など、陰からクリニックを支えてくれる、まさに縁の下の力持ちです。こちらも税理士選びと同じように、クリニックの経験のある労務士が良いでしょう。

スタッフの少ないクリニックであれば、給与計算の代行などは、税理士事務所に任せて、社会保険労務士と顧問契約を結ぶ必要はないかもしれません。

当院では、スタッフが10名を超えた頃に、社会保険労務士事務所と顧問契約し、給与の計算、就業規則の作成などを依頼しています。

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