車社会というのは、明確な定義はありませんが、主にスーパーやコンビニなどへ買い物に行く際には、車を利用する人が多い地域で、遠くに行くには電車ではなく車を使います。
日本国内でいえば、東京都23区内、大阪府の一部、大都市など以外の地域が該当します。
電車社会のように駅は人が集まりやすい場所とは限らないので、注意が必要です。
駅前に競合が多くある場合なら、逆に駅前よりも遠い場所の方が良いこともあります。
スーパーが駅前にあるのか、ロードサイドにあるのかも目安になります。
ロードサイドも1車線よりも2車線、2車線よりも3車線の方が交通量が多い傾向にありますが、同じ片側1車線の道路であっても交通量が全然違うことがあります。
同じ交通量であっても、車の移動目的によって異なり、近隣に住んでいてスーパーへ買い物に行く人、比較的遠くに住んでいてショッピングセンターに遊びに行く人、遠方から長距離トラックで荷物を運送している人や旅行客などに分かれます。
どのような目的があるか見極める方法の一つとしては、交通量の多い幹線道路では、車がどこから来ているのか確認する必要があります。県外ナンバーが多かった場合には、旅行客の可能性が高くなります。
車の運転席から直接見える位置のクリニック敷地内に、道路沿いに認知されやすい看板を設置します。
クリニックにも、直接見える看板を設置します。
角地は、2つの方向から車が通るため、通行方向が1つの方向の平行より認知されやすくなります。T字路も認知されやすいです。
交差点で信号機があると赤になったときに停車するため、看板に気づきやすくなります。
開業志望の先生に「(車社会では)どのような場所が良いのか?」と聞かれたら、私は、大手チェーン店が立ち並ぶロードサイド、大型スーパーのそば、ショッピングセンターの中かそばが良いと答えています。坪当たりの賃料が高くても、通る車が多く認知されやすい、その地域において認知度が高い立地が良いと考えています。
大手チェーンなどが同じロードサイドにあるのかが基準になります。立地調査の専門家により採算が取れる場所と判断した立地であるからです。
とはいえ、車社会は地方であることが多く、競争が激しくないため、そこまで立地が良くなくても、患者さまは多く来院されているクリニックも少なくありません。
どの立地でもある程度患者さまが来院されるのであれば、「できるだけ家賃が安いところがいいのでは?」と考える開業志望の医師も少なくありません。
しかし、私は車社会であっても認知度の低い家賃が安い立地よりも認知度の高い家賃が高い立地で開業した方がいいと考えています。
認知度の高い立地であれば、より多くの患者さまが通りがかりで来院が見込めますし、患者さまがその分多ければ、ホームページ上で自分の診療したい疾患や得意分野の患者さまに絞ることもできます。
また、将来的に競合が開院する確率を下げることができます。
車社会は、ロードサイド、大型スーパーやショッピングセンターの隣、ショッピングセンターの中の3つに分類することができます。
ロードサイドで大型スーパーやショッピングセンターのそばと両方の要素がある場所もあります。
幹線道路沿いとも呼ばれますが、飲食店やサービス業など大手チェーン店が出店している場所であれば、それだけニーズがあるということがわかります。
ロードサイドといっても、片側1車線の交通量がそこまでない道路なのか、片側2車線の交通量が多い道路かによって大きく異なります。
ロードサイドにスーパー、大型ドラッグストア、100円ショップ、大手携帯ショップなどの店舗があるかどうかが目安になります。
同じ交通量であっても、半径2㎞~4㎞以内に住んでいる人が多い生活道路なのか、逆に少ない産業道路なのかによって将来患者さまになり得る確率は大きく異なります。
幹線道路沿いのハンバーガー店、牛丼店、定食店などのファーストフードは、半径2㎞~4㎞以内に住んでいる人以外も利用するため、来店客を分析する必要があります。
中央分離帯の有無、視認性を妨げる街路樹や標識の有無、ロートサイドから駐車場への入り口への入りやすさなども影響します。
駐車場が確保できるロードサイドにあるコンビニの跡地という選択肢もあります。
スーパー、大型ドラッグストア、100円ショップなどには、半径2㎞~4㎞以内に住んでいる人が通りがかりやすい場所になります。
スーパーは、生活に必要な物が揃っており、平均すると週2~3回来店するとされています。
一般的に、スーパーも床面積が増え規模が大きくなるほど、より遠方から人が来店します。
大型スーパーとしたのは、スーパーといっても規模は様々で、中型スーパーや小型スーパーもあり、来店する人数が全く異なるからです。おおよそ床面積で規模を把握することができます。
ショッピングセンター、ホームセンター、家電量販店などには、半径2㎞~4㎞以内に住んでいる人だけでなく、車に乗ってより遠方からも来店します。
調剤薬局が土地を購入して、クリニックを誘致して医療モールを作りやすい場所でもあります。
正式な許可を得ることはなかなか難しいかもしれませんが、ショッピングセンターとしても調剤薬局があれば、駐車場を使ってもらうことを黙認するケースもあります。
ショッピングセンターに車を駐車→クリニック→処方せんをショッピングセンターの中に持っていく→ショッピングセンターに駐車した車に戻るという流れになるため、調剤薬局の位置やショッピングセンターの入り口の位置などもチェックする必要があります。
ショッピングセンターの駐車場を利用してもらいたいので、あえて駐車場を用意しないクリニックもあります。
将来的に医療モールができることもありますが、空き物件があり空きスペースがなければ、医療モールを作ることができないため、チャンスがあるともいえます。
将来的に、ショッピングセンター内にクリニックができる可能性があるかも確認しておく必要があります。
ショッピングセンターの隣に関する要素以外にも、建物内での位置、どのくらいの人数が開業場所の前を通りがかるかが重要になります。
ショッピングセンターのメインの出入り口、駐車場からの出入り口、エレベーターやエスカレーターは人が集まりやすい場所になります。ショッピングセンター内にあるスーパーや人気テナントも人を集めます。
逆に、人が集まりにくい、通りがからない場所であれば、認知されにくいということになります。ショッピングセンターの中であればどこでもいいというわけではありません。
ショッピングセンターの中にテナントとして入居すると以下のようなメリットがあります。
入居できる場所に人通りがあれば、より多くの人に認知してもらえます。エレベーターやエスカレーターの近くは人が集まりやすいです。
駅近のショッピングセンター以外は、車で来店するため、駐車場から近い入口を利用する傾向にあります。
スーパーでの買い物帰りのついでにクリニックに寄ってもらうなど、ワンストップで済ませることができ利便性があります。
ショッピングセンター内に調剤薬局があれば、薬を準備するまでの待ち時間に買い物にも行けます。
ショッピングセンターの従業員に受診してもらえます。
基本的には、一業種一店舗のため、ショッピングセンター内に競合ができません。
ショッピングセンターそばに医療モールを作る計画や土地があるかどうか確認する必要があります。
逆に、以下のようなデメリットもあります。
入居できる場所に人通りがなかったら、なかなか認知してもらえません。
ショッピングセンターの中でも、通りがかる人が多く、認知されやすい場所である必要があります。
ショッピングセンター内なので、内装会社の指定があるなどして、工事費用が高くなることもあります。
ショッピングセンターため、土曜日、日曜日、祝日により多くの人が来店します。そのため、ショッピングセンターとの契約で日曜日、祝日も診療しなくてはいけないこともあります。
共益費や駐車場の負担もあるため、ロードサイドの物件と比べて家賃が高めのことがあります。
ショッピングセンターを調べるには?
ツールを使用して調べることができます。一覧の中でも車社会にあるショッピングセンターに限ります。電車社会にあるショッピングセンターは除いてください。
ちなみに、電車社会であれば、ショッピングセンターの中よりも、駅近くの1階の方が認知度が高い立地のことが多いです。
逆に、車社会で苦戦しやすい立地もあります。
交通量の少ない道路は、より多くの人に認知されにくい傾向にあります。
あまりにも認知されにくいため、車社会なのに徒歩圏の近所に住んでいる患者さましか来院されないクリニックもありますが、大変もったいないことです。
駐車場が近くにない場合には、駐車場からクリニックまである程度の距離を歩く必要が出てきます。インターネット上でも比較検討された際に選ばれにくくなってしまいます。
駐車場と提携して、割引券や1時間無料券を渡すこともあります。
駐車場が少なすぎる、駐めやすさのもリピート率に影響を与えます。
おおよその目安としては、車社会で乗降客数が3万人以下の地域であれば、駐車場スペースを取りにくく交通量の多くない駅前に開院する意味はあまりないかもしれません。
地方に行くほど車社会になるので、駅前で開院するなら、より多くの乗降客数必要になります。どれくらい駅前が栄えているかによって類推することができます。
なお、交通量が多く認知されやすく、駐車場を確保できていれば、駅近くでも問題はありません。
ごくまれなケースかもしれませんが、近くに全く調剤薬局がないと、患者さまが困ってしまいます。調剤薬局を誘致できる物件を選ぶのも良いでしょう。
5. 医療モール開業の